起業前に準備すべきもの10選
まずは、起業前に準備すべきものについて紹介します。
➀事業資金
当然ですが、起業するためには「お金」が必要です。
起業時に必要となるお金は大きく2種類あります。
・初期費用(会社を設立するための費用、設備投資費用など)
・ランニングコスト(人件費、仕入れコスト、家賃等)
意外と見落としがちなのがランニングコストです。事業を始めたからといって、すぐに売上が出るとは限りません。むしろ、いきなり売上が出るケースは稀です。起業する前は、事業が軌道に乗る時期を予想して、それまでの売上がゼロでも運営できるだけの資金は準備しておくのがベストです。
資金調達する選択肢もアリ
起業するために自己資金だけでは心もとない場合は資金調達を検討しましょう。自己資金がしっかり貯まってから起業した方がリスクは少ないですが、貯まるのを待っていてはタイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。
起業時における資金調達として、代表的な方法は「創業融資」と呼ばれる、新規で事業を始める方向けの融資です。民間及び公的な金融機関で実施していて、通常の融資よりも審査ハードルが低いという特徴があります。
創業融資には主に次の2種類があります。
・日本政策金融公庫「新創業融資制度」
・地方自治体・信用保証協会・民間の金融機関の3者連携「制度融資」
前者は融資スピードが早く、後者は融資までに時間がかかるものの金利が低い傾向があります。
起業時の資金調達は創業融資だけでなく、銀行融資や補助金、クラウドファンディングを活用するのもいいでしょう。
起業にかかる費用を確認しよう
起業するのにかかるお金は業種によっても様々ですが、日本政策金融公庫が発表した「2020年度新規開業実態調査」によると、平均989万円となっています。ネットビジネスの普及もあり、1991年度の調査以来最も少ない金額でしたが、それでも1,000万円前後は必要となります。
業種は同じであっても事業の規模感やサービスの種類によって金額は大きく変わります。どれくらいのお金が必要になるのかをできるだけ細かくイメージしておきましょう。
②事業計画書
事業計画書とは、事業内容や収支計画を示す書類であり、金融機関や投資家から融資を受けることを目的に作成されます。記載事項は次のようなものです。
・経営者のプロフィール
・事業内容
・ビジョン・理念
・サービス・商品の強み
・市場・競合の状況
・事業の見通し・戦略
・生産方法(仕入先・取引先の状況)
・収支計画
・従業員数と人件費
・必要な資金額
金融機関や投資家に対して、自身の事業をアピールするためにも事業計画書に記載する金額などの数字はできるだけ細かく、かつ根拠のあるものにしましょう。
③会社名、ロゴ
当然ですが、会社を設立する際は社名を決めなければなりません。法人登記、不動産登記など「登記」に必須となるからです。※個人事業主として独立する場合は不要
また、会社のアイデンティティをアピールできるロゴも必要です。ロゴは企業のWEBサイト、名刺、看板などに広く活用できます。社内で作るのが難しい場合は、デザイン会社に依頼するのもいいでしょう。
④役所に提出する書類、印鑑
起業といっても個人事業主で起業する場合と会社を設立(法人化)する場合では、必要となる書類や手続きが異なります。ちなみに、印鑑は代表者印、銀行印、角印が必要となります。
個人事業主として起業する場合、手続きとしては税務署に「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。対して、法人を設立する場合は少なくとも下記3つの書類が必要となります。
・法人設立届出書
・源泉所得税関係の届出書
・消費税関係の届出書
なお法人設立届出書には、添付書類として定款等の写し、株主名簿の写し、設立時の貸借対照表なども必要となります。
税務署に必要書類を提出するだけの個人事業主とは違い、法人設立の場合はその前に「定款の作成及び認証」「法務局への登記」「年金事務所への必要書類の提出」などを経て、税務署へ届け出するというフローになります。
加えて、法人を設立する場合は次のような資金も必要になります。
定款認証料:5万円(※会社設立代行を頼む場合:設立代行手数料 1万円)
登録免許税:15万円
会社印鑑作成料:2万円
会社を設立するには、手間と費用がかかることを心得ておきましょう。
⑤名刺
起業後の営業活動で必要となる名刺も起業前に準備しておきましょう。
・会社名(ロゴ)
・氏名
・住所
・電話番号、メールアドレス
上記の基本情報に加えて、自社・自分を強く印象付けるために、キャッチコピーなどがあってもいいでしょう。
⑥仕事場所
仕事場所は、オフィスを借りる必要がなければ、自宅でも問題ありません。
ただ、会社に関する書類、名刺などに自宅の住所を記載することに抵抗がある場合は「バーチャルオフィス」の活用がおすすめです。バーチャルオフィスであれば、東京の一等地であっても月額2,000円以下であることも珍しくありません。
バーチャルオフィスの場合にネックとなるのが郵便物ですが、転送サービスを利用することでその問題も解消できます。
⑦自社WEBサイト(HP)
自社WEBサイト(HP)は必須ではありませんが、ネット社会においてその重要性は高まっています。仕事の商談などもリモートでやり取りすることが増えた昨今では、名刺代わりの役割も果たしてくれます。
WEBサイトの立ち上げには、ドメイン及びサーバーを取得した後、「CMS」と呼ばれるサイト構築システムの導入が必要となります。馴染みが薄いと難しそうに感じるかもしれませんが、手続き自体はそこまで時間がかかりません。
会社サイト(HP)には、少なくとも下記のページを作っておきましょう。
・会社概要
・事業紹介
・問い合わせフォーム
起業後は、実績や事例ページを作成するなどして「営業資料」としても活用できるような会社サイトを目指しましょう。
⑧挨拶状(パンフレット)
会社サイトとは別に、お世話になっている方、見込み顧客に送るために必要となるのが挨拶状(パンフレット)です。開業したことを伝えるだけならメール等で十分ですが、形あるハガキ、カードで伝えることで受け取る側にとっても印象深いものになります。
挨拶状には、日頃の感謝と会社名(連絡先)だけでなく、起業に至った理由や今後の抱負などを添えるようにしましょう。
⑨営業関連資料
起業後すぐに営業活動ができるように、営業資料は起業前に用意しておきましょう。
事業内容や会社概要をはじめ、自社の商品・サービスの強みと顧客のメリットが明確かつ魅力的に伝わるような資料にしましょう。
⑩経理管理
事業を行う上で経理管理は必須です。税理士にお願いするのもいいですが、金銭感覚を養う意味でも、できる限りは自力でやるのがおすすめです。これまで経理を一切やったことがない方は会計ソフトを活用することで、簡単かつ効率的に作業を進めることができます。
会計ソフトも様々な種類がありますが、起業する方におすすめなのが「freee(フリー) 」です。会計ソフトとしては最も知名度が高く、簿記の知識がなくても帳簿できるシステムとなっているので、会計初心者の方からも高い支持を得ています。
会社用として使うクレジットカードは法人用のクレジットカード、いわゆる「ビジネスカード」にしましょう。個人事業主の場合はビジネスカードではなく、個人のクレジットカードでも問題ありませんが、ビジネスカードは利用限度額が大きく、引き落とし口座を法人口座に設定できるため、会社用として使う上での利便性は高いです。
クレジットカード決済は、引き落とし日がカード利用日の1~2ヵ月先になるので、手元からすぐに現金がなくなることを防止する役割も果たしてくれます。会社を運営する上での資金繰り対策としても有効なのです。
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